2017年9月19日火曜日

【全話感想】恋と嘘

あらすじ

 超・少子化対策基本法により自由な恋愛が禁止され年月が経ち、政府によって決められた最良のパートナーと結婚することが普通になった世界。政府から通知を受ける16歳になる前夜、根島由佳吏は小学校の時からずっと好きだった高崎美咲に告白をし、相思相愛であったことを知った。しかし、16歳を迎えた由佳吏に手渡された政府通知には結婚相手の名に真田莉々奈と記してあった。
 莉々奈との初のお見合いの日、莉々奈は由佳吏の上の空な態度に激怒した。しかし、由佳吏が好きな人のことを思いそのような態度を取っていたことを知った莉々奈は、由佳吏と美咲の恋を応援しようと思い立つ。学校で浮いた存在であった莉々奈はこれがきっかけで、美咲という初めての友達が出来た。
 美咲は由佳吏の政府通知の相手であり、友達になった莉々奈に由佳吏と結婚して欲しいと考える。一方、莉々奈は初めての友達である美咲に由佳吏と幸せになって欲しいと思う。由佳吏は美咲と付き合いたいと思いながらも、莉々奈に後ろめたさを感じずにはいられない。3人の恋は嘘を交えつつ交差していく―――。

感想

 本作の世界では16歳になるまで様々なカウンセリングを受け、その記録からスパコンを用いて最も最良な結婚相手が決められる。人々はこれを「科学の赤い糸」と呼び、幸せになれると保証され疑わない。こんな世界で16歳になった途端結婚相手を告げられ、"好き"とは何か、"恋"とは何かを考える高校生達を描いた作品です。
 私は科学の赤い糸について全然肯定的ですね。幸せになれる保証があるのなら、恋とか考えなくてもいいんじゃないかな。本作で登場する大人たちは幸せな結婚生活をしているので肯定的に捉えています。しかし恋に青春を燃やしたい子たちにとって、この世界はディストピアです。科学の力によって与えられる恋は真実の愛になりうるのか、そういう疑問が生まれるような作品でした。

 作品の転機になったところは、キャンプの回ですね。仁坂が莉々奈に対して「高崎とネジがくっついたらお前はどこにいる」と言うシーンがなかなか良かったです。莉々奈はそれでも2人を応援したい決意します。一方美咲はキャンプの後に自ら根島くん禁止令を出して、由佳吏と莉々奈の関係を邪魔しないように頑張ります。
 結局2人の考えが上手いことかみ合わず、特別講習の件もあってみんなが疎遠になって夏休みを明けてしまいます。
 夏休み明けの文化祭では自由な恋ができないということをロミオとジュリエットに重ねます。美咲の演技が演技ではなくて本音を言っているような感じで印象的でした。もちろん仁坂も良いキャラしていました。
 どのキャラも誰かのことを思って動いている感じですね。(由佳吏は結構自分の好きなように動いていたけど)

 作画が力入れてたのはキスシーンですかね。
 第1話から糸を引く濃厚なキスシーン。それから幾度となく由佳吏と美咲のキスシーンがあります。莉々奈が2人にキスしろって言っているのもありますが、それ以上に由佳吏と美咲が楽しんじゃっています。
 しかしながら美咲とだけではなく、最終回では由佳吏と莉々奈で初夜2度目の夜を楽しんでいました。やっぱり舌を絡ませる濃厚なキスをしてます。

 美咲は莉々奈のことを思うし、莉々奈は美咲のことを思うしで、シナリオ的にとらドラ!を思い出させるものがありました。とらドラ!的には、莉々奈には由佳吏が必要でしょエンドって感じですね。美咲エンドでも、科学の赤い糸より運命の赤い糸ってことで全然良かったと思います。
 しかしながら、最終的に由佳吏がどっちと付き合いたいのか決めなかったのが腑に落ちない。原作が続いていることもあって決められないのは承知ですが、アニメオリジナルで展開させたんだからちゃんと着地させろよ。評価的には一番つまらない終わり方した。まだ仁坂と男同士の友情深めた方がマシだったよ。
 美咲が好き=莉々奈が好き>>>>仁坂ルート>>2人とも好き

 設定自体は面白かったと思いますが、最終回の脚本があまりにも消化不良。内容次第では星4のいいところまで評価できたんですが、最終回見たら星3妥当って感じです。
 ★★★

原作

ムサヲ
DeNA「マンガボックス」掲載

スタッフ

監督:宅野誠起
シリーズ構成:高橋ナツコ
キャラクターデザイン:伊藤依織子
音楽:横山克、信澤宣明
アニメーション:ライデンフィルム

キャスト

高崎美咲:花澤香菜
真田莉々奈:牧野由依
根島由佳吏:逢坂良太
仁坂悠介:立花慎之介
矢嶋基:谷山紀章
一条花月:黒沢ともよ
五十嵐柊:喜多村英梨

シーズン

2017年夏 全12話

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